苦手なことは誰だってある。

苦手だからやらない

それもいいだろう。

しかし、ことSMの話であり、それも女王と奴隷ということになれば、話は変わってくる。

苦手なもの

それは克服するためにある（かもしれない）

調教をしていくうえで『克服』というのはキーワードの一つ。

これを乗り越えれば、きっと新しい何かが待っているのだ。

専属Kの苦手なものの一つ。

ガスマスク。

本人も自覚があるはず。

恐怖心。

苦しいと思い込んでいるのだ。

かなりましにはなっているが、きっとパニくった時のことをまだ思い出すはず。

かなり克服しているのは、私にずっと言い聞かせられていることや、私との関係性。

そこから大丈夫、息はできると自分に言い聞かせているのだろう。

怖いかもしれない。

だけど、それならなおのこと、やめるわけにはいかないの。

まずはこの状態に慣れるべきだが、もうそれだけで済まされるわけはない。

考え方によっては違うことと組み合わせて、そこに意識が集中することをやめさせるというのもアリね。

痛いことはＫにとってはスイッチだ。

痛い、痛いのだ。

しかし、なぜかＫはそこでさらに興奮する。

それはもう何年も私にそう育てられているから仕方がないこと。

蝋燭。

これも苦手な一つだが、この苦手さはひたすら耐えるしかないと諦めているようだ。

お前がガスマスクでパニくったあの時、すぐに外してしまった自分を本当に後悔している。

なんなら、外した直後にすでに後悔していたもの。

だから、ガスマスクはお前にとっても苦い思い出の一つだろうが、私にとってもそうなの。

だけど、あれがあったから今がある。

私は一度した後悔を二度と味わったりしない。

あの時の後悔を私は未だに忘れないし、この先絶対に同じようなことがあれば、きっとその場でお前を落ち着かせてみせるわ。

それだけお前を調教してきたのだもの。

だからお前は今まで通りついてくるだけでいい。

あと少しで丸6年。

これからもお前の人生には私がなくてはならないものだということをしっかりと教えていってやろうね。